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為替相場まとめ11月1日から11月5日の週

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


 1日からの週は、ドル高と円高が優勢だった。注目は各中央銀行の金融政策発表に集まった。豪中銀は3年物国債利回り目標を廃止し、出口に一段階進んだ。しかし、政策金利についてはインフレが持続的に枠内に収まるようになってからとし、利上げには慎重な姿勢をみせた。豪ドル売りに反応した。米FOMCは今月からの資産購入ペース縮小開始を発表、月額150億ドルずつの縮小で、来年半ばまでのタイムラインを設定した。パウエル議長会見では市場が期待していたような利上げのヒントについての言及はほとんどなかった。ドル相場は神経質に上下動したが、ややドル売りに傾く程度だった。英中銀は事前に利上げと据え置きの見通しに二分されていたが、今回は据え置きを決定。資産購入枠も据え置いた。ベイリー英中銀総裁は、市場の利上げ期待の強さに警戒感を表明した。ポンドは急落の反応を示した。ラガルドECB総裁が、来年に利上げの条件が整う可能性は極めて低いと、市場の利上げ観測をけん制。いずれの中銀も利上げについては市場が期待したような強い内容はみられなかった。消去法的にドルが買われる面が強かったようだ。一連の中銀イベントを通過して週後半は調整ムードが広がった。ドル円の上値が重くなり、クロス円も下押しされた。OPECプラスと米政府との増産をめぐるせめぎ合いで原油相場が不安定な動きとなった。中国の景気先行き不安、中国不動産開発会社の佳兆業は自社が保証した理財商品の支払い実施できずとの報道などが不透明感を広げた。週末の米雇用統計では雇用者数の伸びが予想を上回り、失業率も予想以上に低下し、ドル買いに反応した。しかし、その後は米債利回りの低下とともにドル買いは一服した。


(1日)

 東京市場で、ドル円はじり高となった。先週末に114円台を回復、週明けも堅調地合いを維持して、114.30台まで買われた。日経平均は寄り付きから買われ、その後も大きく上昇。午後も高値圏でしっかりと推移。クロス円の上昇とともに円売りの動きが広がった。衆院選で与党勢力が安定多数を維持し、政策の継続性期待が広がったことが、株高からのリスク選好の動きにつながった面が指摘される。週末の中国製造業PMIが弱かったことで、中国上海総合指数は売りが先行したが、その後はプラス圏を回復。アジア株の堅調な動きもドル円を支えた。ユーロドルは1.1560前後と先週末に下落したあとの安値圏での揉み合い。


 ロンドン市場は、先週末からのドル高水準での推移。ドル円はロンドン序盤に114.44レベルまで買われ、先週末から一段高に。米10年債利回りは1.55%近辺に低下したあと、1.58%台まで上昇。米株先物や欧州株は堅調に推移。NY原油先物は84ドル台へと上昇。リスク動向は比較的良好。ユーロドルは1.1570台へと小幅の下げ渋り。一方、ポンドドルは1.3650割れ水準へと先週末から一段と軟化。いずれも値幅は2-30ポイントと限定的な動き。ユーロ円は132.40近辺まで買われ、ポンドドルも156.50近辺まで上昇。しかし、ユーロ買い・ポンド売りの動きに押されてポンド円は156円台割れへと反落している。今週は半ばから後半にかけて米FOMCと英中銀金融政策委員会(MPC)を控えており、週明けは様子見ムードが広がっている。


 NY市場では、ドル円が反落。ロンドン序盤には114.44レベルまで買われたが、その後は上値が重くなり、NY終盤には一時114円台を割り込んだ。ユーロドルは先週末の大幅安からは下げが一服している。1.15台半ばまで下落したあと、NY時間には1.16台乗せまで反発した。ポンドドルは1.36台半ばから下げ渋りの動きをみせたが、1.37台には届かず、売買が交錯。1.36台後半で上値重く推移した。市場は今週のFOMCの結果を待っている。資産購入ペース縮小のアナウンスが期待されているが、いつから開始になるのか、そして、終了までどの程度の期間を想定しているのか、そのタイムラインに注目が集まっている。次の日には英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されている。利上げを巡って市場の見方は完全に二分している状況。市場では英中銀が0.15%の利上げを発表したとしても、インフレ見通しなどを通じて、市場の追加利上げ期待をけん制してくる可能性が指摘されていた。


(2日)

 東京市場では、ドル円が下落。朝方に114.13近辺まで買われたが、その後は上げが重くなり午後には前日安値を下回ると、ストップロス注文を巻き込んで113.60近辺まで下落した。クロス円も軟調で、ユーロ円は朝方に132.40付近まで買われた後は、132円台割れから午後には131.80台まで下落。注目された豪中銀理事会は、事前見通し通り3年物利回り目標の廃止を決定。ただ、OCRについてはインフレが持続的に枠に収まるようになってからとし、来年末時点でのインフレ見通しについてレンジの前半部分として、慎重な見方を示した。豪ドル売りが広がり、対ドルでは0.75台割れ、対円では85円台後半から85円ちょうど付近へと下落した。


 ロンドン市場は、円買いが優勢。あすの米FOMCの結果発表を控えて、ポジション調整が入った。リスク動向は比較的落ち着いており、米株先物は前日並み水準で揉み合い、独仏株は堅調、英株は軟調とまちまち。NY原油先物は84ドル付近で落ち着いた値動き。東京時間に売られた豪ドルが、ロンドン時間も引き続き軟調。豪ドル円は85円台割れ、豪ドル/ドルは0.74台後半で安値を広げた。円買いには豪ドル円の動きが影響した面も。ドル円は113.50割れまで下落。ユーロ円は一時131.50付近、ポンド円は154.60台まで安値を広げた。ユーロドルは1.16を挟んだ上下動、ポンドドルは1.36台後半から前半へと上値重く推移。あさっての英MPCを控えて調整売りがでていたようだ。10月ユーロ圏製造業PMI確報値は58.3と小幅に下方改定された。 


 NY市場では、ドル円が下げ渋り。113.50近辺から114円手前へと買い戻しが入った。ユーロドルは一時1.16台をつけたあと、戻り売りに押されて1.1570台へと反落。ポンドドルは1.36台割れ目前まで下落したが、大台割れには至らず安値圏での揉み合いとなった。いずれも全体的には様子見の雰囲気が強い。米FOMCや英金融政策委員会(MPC)を控えて調整含みの値動きに終始した。FOMCについては、資産購入ペース縮小回避は規定路線で、市場では利上げ開始についてのヒントを求めているようだ。英中銀については、市場は来年にかけての利上げ期待を高めている。ただ、期待の高さがすでにポンドを押し上げてきており、これ以上のポンド買いにはつながらないのではとの読みもでていた。


(3日)

 東京市場は文化の日の祝日で休場。


 ロンドン市場は、米FOMCの結果待ちで小動き。ドル円はオセアニア市場で114.01レベルまで買われたあと、東京市場不在のアジア市場では113.74レベルまで反落。その後のロンドン市場では113.80-90レベルを中心とした揉み合いに。ユーロはやや堅調で、対ドルでは一時1.1598レベルまで買われた。その後、ラガルドECB総裁が、来年に利上げの条件が整う可能性は極めて低いと、市場の利上げ観測をけん制。1.1580近辺まで一時下げたが、下押しも限定的。ユーロ円は131円台後半から一時132円台までの動き。ポンドドルは1.36台前半での揉み合いで、一時1.3608レベルと上値重く推移。ポンド円は155円台割れとなる場面があったが、すぐに大台に戻した。10月英製造業PMI確報値は59.1へと予想以上の上方改定、9月ユーロ圏失業率は予想通り7.4%に低下。


 NY市場は、米FOMCが注目された。午後になってFOMCの結果が公表され、今月からの資産購入ペース縮小開始をアナウンスした。月額150億ドルづつの縮小で、来年半ばまでのタイムラインを設定している。ただ、インフレの状況次第では調整する可能性も示した。ほぼ予想通りといったところ。また、その後のパウエル議長の会見も、これまでのスタンスと概ね変化はない。市場は利上げのヒントに注目していたが、それについては言葉は少なかった。全体的には慎重姿勢を滲ませていた印象もあった。米株と米債利回りは上昇の反応をみせたが、ドル円は114円ちょうど付近での上下動にとどまった。ユーロドルはFOMC後に買われ、1.16ちょうど付近へと上昇。値幅は限定的だった。ラガルドECB総裁は「利上げの条件が来年に満たされる公算は小さい」と述べ、市場が来年の利上げを織り込む動きを改めてけん制した。ポンドドルは4日ぶりに反発、1.36台半ばへと戻した。あすの英MPC前に調整が入った格好。市場からはポンドについて、主要通貨の中では景気敏感通貨との見方もでていた。


(4日)

 東京市場では、ドル円は114円台前半でしっかりとした動き。前日NY午後の米FOMCでは、テーパリング開始を決定も、利上げについては目立った言及がなく慎重姿勢を維持。これを受けて米株が上昇したことを好感し、アジア市場でも株高の動きが続いた。日経平均は寄り付きから300円を超える上昇。リスク選好の円売りがドル円を支えた。米債利回りがFOMC後も堅調な動き。10年債利回りが1.6%台で推移する中、ドル買いの動きも見られ、昨日の海外市場で1.1610台まで上昇していたユーロドルが1.1580台に。この後英中銀金融政策委員会を控えるポンドドルは朝の1.37手前から1,3650近くまで下落。ポンドに関しては一時の利上げ期待が直前になってやや後退していることなども重石。


 ロンドン市場は、円高とドル高の動き。欧州株や米株先物は小高く推移しているが、米10年債利回りは1.57%近辺へと低下。このあとの英金融政策委員会では政策金利の据え置きと利上げの見通しが5分5分となっており、不透明感が高い。NY原油先物は再び82ドル台乗せ。市場ではバイデン米大統領の増産要請にOPECプラスは従わないだろうとの観測がでている。中国の不動産開発会社の佳兆業は自社が保証した理財商品の支払い実施できずと報じられた。様々な不安材料が散見されるなかで、ドル円は114円台割れへと反落。ユーロ円は132円台割れから131円台半ばへ、ポンド円は156円近辺から155円台前半へと下落。ユーロドルは1.15台半ば割れへ、ポンドドルは1.36台後半から前半へと軟化している。


 NY市場では、ドル買いが優勢。ポンド売りが目立ち、対ドルは一時1.35台を割り込んだ。英中銀金融政策委員会(MPC)が開催されたが、市場が期待していた利上げは見送られたことで、ポンド売りが強まった。ベイリー英中銀総裁は会見で、市場の行き過ぎた利上げ期待にも懸念を示していた。ユーロドルも1.16付近の21日線を下回り、1.15台前半まで下落。ECBの慎重な姿勢も意識された。ドル買いが広がるなかで、ドル円は113円台半ばまで下落。ダウ平均や米債利回りの低下などが売りを誘った。前日の米FOMCを通過して、市場の関心はあすの米雇用統計をはじめとした経済指標に移っている。一部からは、この先の米経済指標は力強い内容で、ドルは年末にかけて上昇の準備ができている可能性があるとの指摘も出ていた。


(5日)

 東京市場は、小動き。ドル円は113.80台から113.50台まで低下も、前日海外市場での安値には届かず。ユーロ円はドル円とともに131円台前半へと小安い。日経平均や香港・上海株が軟調に推移しており、やや円高の動きに。中国不動産業界の経営難に対する懸念が再燃している。ユーロドルは1.1540近辺から1.1550台での揉み合い。ポンドドルは1.35前後、ポンド円は153円台前半など前日の英金融政策委員会後に大幅下落したあとの安値圏で推移している。全般に、このあとのNY市場で発表される米雇用統計待ちのムードが広がっている。


 ロンドン市場は、米雇用統計発表を控えてドル買いが優勢。前日は英中銀政策金利据え置きを受けて、ポンド相場が急落した。きょうは東京市場で安値付近での揉み合いとなったあと、ロンドン時間に入るとポンド売りが再燃している。ポンドドルは一時1.3424レベルと年初来安値1.3412レベルに迫った。ポンド円は一時153円台割れ、ユーロポンドは0.85台後半へとポンドが一段安となっている。ベイリー英中銀総裁は今日の発言で、11月利上げを約束したことはなかった、昨日の市場の動向は現状の再評価だったといえよう、と述べている。利上げに関しては、いつの時点かで金利を引き上げる必要があろう、とタイミングについて明言を避けた。ユーロドルは序盤に1.1560台へと買われたあとは、1.1530近辺まで反落。対ポンドでのユーロ買いが下げを限定的なものとしていた。ユーロ円は131.30-60レベルで小幅の振幅。ドル円は東京市場で113.56レベルまで軟化したあと、ロンドン時間に入ると113.92レベルに高値を伸ばす動き。欧州株や米株先物は堅調に推移しており、米雇用統計前の調整の動きは限定的。


 NY市場でドル円は戻り売りが強まり、113.30近辺まで下落。きょうも米国債利回りが急低下しておりドル円を圧迫。米10年債利回りは節目の1.5%を割り込んでいる。この日発表の米雇用統計は予想を上回る堅調な内容でドル円も発表直後は買いで反応していたものの、次第に上値が重くなった。



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