top of page

米非農業部門雇用者数は力強い伸びを維持か~米雇用統計

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


8月が始まり、重要指標が目白押しとなります。特に注目度が高いのは2日の米ISM製造業景況感指数(7月)、4日の同非製造業景況感指数(7月)、6日の米雇用統計(7月)です。


 ISMは前回ともに事前予想を下回る結果となりましたが、ともに好悪判断の50どころか60を超える状況を維持しており、強めの水準となっています。前回の発表後も米国内の景気回復は順調と見られますが、ここにきて変異株による新型コロナの新規感染者数がかなり増えてきており、景況感への悪影響が懸念されるところ。予想はともに前回から若干強くなる見込みとなっているだけに、予想及び60を下回る数字になった時に要注意です。また、内訳の中の雇用部門の数字にも要注意。6日の米雇用統計への影響が気になるところです。


 そして最も注目度の高い米雇用統計ですが、こちらも高水準が期待されています。前回6月分は非農業部門雇用者数が事前予想の前月比72万人増を大きく上回る前月比85万人増を記録。失業率は5.6%、予想が5.9%とやや高めでしたが、全体に好結果という印象でした。


 非農業部門雇用者数の内訳を確認すると、小売業が6.71万人増、レジャー&ホスピタリティ部門が34.3万人増、教育及びヘルスケア部門が5.9万人増となり、全体を支えました。政府部門も18.8万人増と大きく伸びています。


 民間部門の伸びは、行動制限などによって大きな影響を受けた部門が中心で、失われた雇用の回復が進んでいるという印象を与えました。ワクチン接種の進展を受けて全米各地で行動制限の緩和・解除が進んでいる状況が反映されたものです。


 前回6月分は6月6日から12日の週のデータとなりますが、前回の計測期間終了後となる6月15日にニューヨーク州とカリフォルニア州という行動制限を厳しくかけていた米国でも最大規模の人口を誇る2つの州で、ほとんどの行動制限の解除が発表されたことから、今月の雇用統計でも前回同様にレジャー&ホスピタリティ部門などの雇用が大きく伸びていることが期待されています。


 こうした状況を受けて、今回の非農業部門雇用者数は前月比92.5万人増と、前回の85万人増をさらに上回る伸びが期待されています。また失業率についても5.6%と一気に0.3%ポイントの低下が見込まれています。


 前回伸びたレジャー&ホスピタリティ部門の中でも、特に伸びが目立った外食部門(前月比19.43万人増)を見ると、ここ5か月連続で二けたの伸びを示すなど、雇用の回復が目立っていますが、それでもパンデミック前のピーク時と比べると130万人以上雇用者数が少ない状況だけに、今回も大きく伸びる余地はまだまだ残っており、予想通りの雇用増を示す可能性は十分あります。


 ただ、懸念材料が2つあります。一つは変異株による新型コロナの感染拡大。ワクチン接種の進展もあり、今年一月初めのピーク時には一日当たりの新規感染者数が一時30万人を超える日があり、7日間平均でも25万人を超えていた米国。その後のワクチン接種の進展と厳しい行動制限により、6月ごろには1万人を割り込む日が見られ、7日間平均でも1万1千人程度まで下がっていました。


 しかし、ここにきて世界的に広がるデルタ変異株による感染拡大によってふたたび新規感染者数が急拡大。直近では1日当たりの新規感染者数が10万人を超える日が見られ、7日間平均でも6万人を超えるなど、一時の5倍以上の数の感染が見られます死者数などは減少傾向を続けており、厳しい行動制限の再開には各州とも慎重ですが、カリフォルニア州の主要都市ロスアンジェルスでワクチン接種者であっても室内でのマスク着用がふたたび義務化されるなど、警戒感が広がっているようです。


 こうした動きが個人消費に影響を与えてくると、雇用の伸びも抑えられると見込まれます。もう一つがサプライチェーン問題です。半導体を中心にサプライチェーン問題が依然深刻化しており、前回の雇用統計でも影響を強く受ける自動車製造部門は前月比1.23万人の減少と、厳しい数字になりました。


 29日に発表された米第2四半期GDPが、予想ほど伸びなかった背景にも、同問題がかなり影響しているとみられており、大きな懸念材料となっています。これらの影響がどこまで出てくるのか。基本的には強めの数字を見込んでいますが、ネガティブサプライズにも要注意です。



---------------------------------------------------- ▼ I'Rise Associates株式会社

▼ 運営サイト

▼ 証券・金融用語まとめ


▼ 公式Twitter


▼ 公式Facebook

----------------------------------------------------

bottom of page