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米連邦公開市場委員会(FOMC)は現状維持見込み、声明、議長会見に注目

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


 今晩午前3時にFOMCの結果発表、3時半にパウエルFRB議長の会見が予定されています。政策金利・量的緩和はともに現状維持見込みとなっています。政策金利については、前回6月のFOMCにおいて公表されたドットプロット(※1)において、2023年末までに2回の利上げが見通しがメンバーの中央値として示されました。3月のFOMC時点では据え置きが中央値となっていたため、一気の利上げ期待拡大です。また、2022年中の利上げを見込むメンバーが18名中7名まで増えるなど、今後の金利上昇に向けて前向きな姿勢が見られました。また、前回FOMC後に地区連銀総裁を中心に複数のメンバーから2022年中の利上げに前向きな姿勢が示されるなど、FRBのタカ派シフトが目立っていました。


 しかし、今月14日、15日のパウエルFRB議長による議会証言において、議長は従来からの慎重姿勢を維持しました。FOMCは多数決による合議制とはいえ、過去の歴史の中で議長提案が一度も否決されていないため議長の姿勢はかなり重要です。前回のFOMC後に早期テーパリング開始期待を強めていた市場ですが、期待感が後退。一時は来月下旬にあるジャクソンホール会議においてパウエル議長がテーパリングの開始を示唆し、9月のFOMCで正式に決定。11月ぐらいから実際のテーパリング開始といったタイミングが期待されていましたが、もう少し先送りになるとの見通しが広がっています。


 もっとも今月13日に発表された6月の米消費者物価指数は前年比5.4%、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアでも4.5%とかなりの高水準になっています。米国のインフレターゲットの対象であるPCEデフレータは、この後30日に6月分が発表されますが、CPIの高水準の結果もあり、事前予想は前年比+4.0%、コア前年比+3.7%と、インフレターゲットの2%をはるかに上回る状況となっています。


 パウエル議長はこうした物価上昇について、議会証言でも一時的という見通しを改めて示しました。ただ、地区連銀総裁などを中心に警戒感がかなり広がっており、声明などで一定の配慮が見られる可能性があります。


 一方、慎重姿勢につながる厳しい材料もあります。デルタ変異株による感染拡大です。世界で最も感染者数・感染による死亡者数の多い米国。1月初めごろは1日当たりの新規感染者数が30万人を超える日があり、7日間平均でも25万人を超える状況も見られました。もっとも、先進国の中でも先行したワクチン接種の進展もあり、先月に入って1日当たりの感染者数が1万人を割り込む日が見られ、7日間平均でも1.1万人台になるなど、感染拡大をかなり抑えることが出来ていました。しかし、こうした状況を受けての行動制限の緩和と、デルタ変異株による感染拡大が合わさり、ここにきて1日当たりの感染者数が8万人を超え、7日間平均でも5.5万人超えと、7日間平均で見て先月のもっとも少ない時期の約5倍という厳しい状況が見られます。また、この上昇傾向、今月に入って加速度的に増えており、警戒感が広がっています。


 こうした感染の再流行は米国の景気回復にとってかなりの悪材料となるだけに、声明や議長会見でどのような対応が示されるのか。議長としては物価上昇にある程度配慮も、将来の不確実性に言及し、慎重姿勢を維持してくると見込まれます。市場の一部では次回9月のFOMCでのテーパリング開始示唆への期待が広がっていますが、こうした期待が今回の結果を受けてどのような変化を見せるかが注目されるところです。



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