―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―

9日に開催されるECB理事会で、ECBの量的緩和策縮小の見通しが広がっています。
8月31日に発表された8月のユーロ圏消費者物価指数(概算値速報)は前年比+3.0%と約10年ぶりの高水準を記録しました。7月の+2.2%から一気の上昇です。ユーロ圏のインフレターゲットである+2.0%から大きく上に乖離しています。
直近のECB関係者の発言を確認する限り、今回の上昇については一過性のものという認識です。ECBの方針として一時的な上振れを認めるという姿勢を明らかにしていることもあり、すぐに利上げムードという流れにはなっていません。
ただ、今回の物価上昇の要因の一つである量的緩和については、縮小に向けた議論が強まると見込まれています。
ECBは新型コロナの感染拡大を受けて昨年3月にパンデミック緊急供給プログラム(PEPP)を実施しました。来年3月が期限となるこのPEPPですが、期限での終了に向けて今回の理事会で縮小開始(テーパリング)が決定する可能性が高まっています。
ECB内ではタカ派で知られるホルツマン・オーストリア中銀総裁は31日に、「PEPPの債券購入ペース減速を検討することが出来る」と発言。「十分な数のメンバーが私と同意見であれば、10月-12月の購入減速を理事会に勧告するだろう」と、自身は今回の理事会での購入ペース減速決定を支持する姿勢を示しています。
また、同じくタカ派のクノット・オランダ中銀総裁も31日に「3月でのPEPP終了と矛盾しない決定がなされると見込む」「つまりは購入減速を意味する」と発言。
1日にはワイトマン・ドイツ連銀総裁がこのところの物価上昇が一時的な要因から基調的なものになる可能性があると警戒感を示しています。
また、本来は慎重派であるビルロワドガロー・フランス中銀総裁も、PEPPの購入ペースは「資金調達環境の改善を考慮するべき」と、減速の余地があることを示しました。
こうした状況から、今回の理事会でのPEPPの縮小が議論されることはほぼ確実。おそらく縮小開始が決定され、終了期限である3月末までに徐々に手じまいしていくという形になるとの見通しが広がっています。なお、これによりPEPPは当初割り当てていた1兆8500億ユーロの全額を利用する可能性がほぼなくなります。
ちなみに夏季休暇を挟んで8月の債券市場の取引がそれほど活発ではないという状況もあり、PEPPでの実際の購入額は縮小傾向にあります。マーケットインパクト的にもそろそろ減額が必要という見方があり、比較的ハト派な中銀総裁などからも賛同が得やすい状況にあります。
PEPPの縮小決定以外のポイントとしては、声明の内容とECBによるスタッフ見通しがあります。
声明では昨年3月の理事会で購入ペース引き上げとともに使われるようになった「a significantly higher pace」という文言を外してくる可能性が高いです。
3か月に一度示されるスタッフ見通しは、3月、6月と経済成長見通しの改善が見られました。今回も上方修正されるようだと、縮小開始と並んで今後のユーロ圏経済への期待感につながり、ユーロ高の動きにつながる可能性があります。
3日に発表された米雇用統計において、米非農業部門雇用者数(NFP)が予想をはるかに下回る弱い伸びとなったことを受けて、市場ではパウエル議長が8月のジャクソンホール会議で示唆した年内のテーパリング開始の計画に修正が入るのではとの思惑が広がっています。
少なくとも今月のFOMCでのテーパリング開始決定は難しいとの見通しが広がる中で、今回ECBがテーパリング開始を決定した場合、両者の対照的な状況からユーロドルでのユーロ買いドル売りのインパクトが強いものとなる可能性がありそうです。先月1.16台を付けていた時には相当遠く見えた1.20台回復が現実味を帯びてくるかもしれません。
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