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【来週の注目材料】注目度高まる米雇用統計

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


 世界中の注目を集めた先週末のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演。議長は年内のテーパリング開始が適切となりうると、年内開始をしっかりと示唆しました。この講演前に複数の地区連銀総裁から早期のテーパリング開始に前向きな発言が相次ぐなど、FRB内からもテーパリング開始に向けた圧力が強まる中で、今後の姿勢をしっかりと示した形です。ただ、テーパリング開始が利上げへの直接的なシグナルではない、利上げにはより厳しい基準などと、市場の利上げ期待に慎重な姿勢を示したこともあり、株高ドル安の流れが強まる展開が見られました。


過去のジャクソンホール会議で米金融政策変更についての示唆が見られた2010年、2016年の例を確認すると、2010年に当時のバーナンキ議長が追加緩和を示唆した際に、実際にQE2が決定されたのはその年の11月のFOMC。2016年に当時のイエレン議長が利上げを示唆した際に、実際に利上げが実施されたのはその年の12月と、会議後すぐに実施されるというわけではありません。


今回もあくまで年内実施の示唆であり、すぐではありませんから、9月のFOMCでテーパリング開始が決定されるかどうかは微妙なところです。そうした中、カギを握る米国の重要指標の動向に注目が集まるところとなりそうです。特に金融政策に大きな影響を与える雇用市場の動向に要注意です。


 こうした状況だけに、3日に発表される月の米雇用統計がいつも以上に注目されるところに。前回7月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が事前予想の前月比87万人増に対して、94.3万人増の好結果。6月の数字が前月比85万人増から93.8万人増に上方修正された上での結果だけに、2か月連続での90万人超えという以上に強さを感じさせる結果となりました。失業率も6月の5.9%から5.7%に低下するという予想を大きく超えて5.4%まで低下しています。


 内訳を見てみると、新型コロナの感染拡大対応での行動制限が緩和されていることを受けて、レジャー&ホスピタリティ部門の回復が前回も38万人増と堅調となりました。劇場・カジノ・球場などからなるレジャー部門と、ホテルなどのアコモデーション部門、レストラン・バーなどの飲食部門からなる部門で、感染拡大の影響を最も強くうけ、その後の反発につながっている部門です。2月以降平均で30万人を超えるペースで雇用の回復が見られ、このところの雇用回復を支える部門となっています。


 レジャー&ホスピタリティ部門と同様に直近の雇用増を支えてきた小売業は0.55万人減と小幅ながら雇用が減少しています。ただ、これは前回の7.25万人増、前々回の5.39万人増など、夏を前に雇用の回復がかなり進んでいたことの反動と見られます。


 なお、政府部門が24万人増と一気に増えていますが、こちらは夏に絡んでの教員雇用の関連です。


 こうした状況を踏まえて、今回の雇用統計ですが、非農業部門雇用者数の予想は75万人増となっています。前回から伸びが少し鈍化しますが、民間部門の雇用は70万人増の見込みと、前回の70.3万人増とほぼ同水準です。政府部門は上に記載したように特殊要因の部分が大きいですからほぼ前回と同じような状況といえます。


 失業率は5.2%と前回からさらに下がる見込みとなっています。


 事前予想通りであれば、かなり強いという印象です。もっとも雇用増を支えるレジャー&ホスピタリティ部門は、パンデミック前の昨年2月と比べてまだ173.7万人も雇用が少ない状況だけに、大きく回復する余地は十分にありそうです。


 ただ、ここにきて気になるのが、ミシガン大学消費者信頼感指数の弱さに見られる消費者マインドの悪化です。8月のミシガン大学消費者信頼感指数は13日発表の速報値時点で70.2と事前予想及び7月の81.2から一気に悪化。悪化幅は過去50年で最悪、水準的にはパンデミック直後の水準すら割り込み、約10年ぶりの低水準となりました。27日に発表された確報値でも70.8へ回復するとの見込みを下回る70.3にとどまっており、厳しい状況が印象的となりました。内訳を見ますと、先行きの期待指数が7月の79.0から速報値時点で65.2、確報65.1まで低下しており、個人の消費者マインドの先行き不透明感が強まっていることがわかります。こうした状況がどこまで雇用統計に反映されてくるのか。予想を大きく下回る伸びにとどまると、9月のFOMCへの期待感も後退し、一気のドル売りもあり得ます。


 先行指標となる1日発表のADP雇用者数とISM製造業景況感指数にも要注目。また、ミシガン大学消費者信頼感指数の弱さを受けて、30日に発表されるコンファレンスボード消費者信頼感指数にも注目が集まりそう。ミシガン大学消費者信頼感指数は速報値時点で300人、確報値でも500人を相手とした調査ですが、コンファレンスボード消費者信頼感指数は5000人を対象としているだけに、まぎれも少なくなりがち。同指標でも消費者マインドの急落が見られれば、ドル売りが強まる可能性があります。



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