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ドル円は全体の雰囲気よりもFRBの動向により敏感に

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


 今週のドル円は一時108円台まで下落する場面があったものの、週末の米雇用統計を受けて買戻しが強まり110円台を回復。7月以降の緩やかな下落トレンドが終了するか来週以降の動きが注目される。先週のFOMCを受けて、市場は資産購入ペース縮小開始への期待を若干後退させていたが、今週のクラリダFRB副議長の発言や、今週の米雇用統計を受けて、従来のシナリオを復活させているようだ。そのシナリオとは「9月FOMCで資産購入ペース縮小開始の可能性をアナウンスし、年末か来年初の開始」というものだ。その意味では8月26ー28日にワイオミング州ジャクソンホールで開かれるFRBの年次経済シンポジウムがポイントとなるのかもしれない。パウエルFRB議長がそこでの講演で、上記のシナリオの可能性を示唆するのか注目となろう。


 現在は株式よりもむしろ、FRBの金融政策の動向がドル円の鍵となっているようだ。実際、米株式市場の恐怖感を示すVIX指数とドル円の負の相関関係(株高・ドル円上昇)は薄れ、相関係数はほぼゼロに低下している。7月初めには0.3程度まで上昇していた。一方、FRBの金融政策の動向を敏感に反映する2年物OIS(翌日物金利スワップ)とドル円との正の相関関係(OIS上昇・ドル円上昇)はより強まっている。相関係数は0.6程度まで上昇。


 そのFRBの動向だが、今週、クラリダFRB副議長が9月FOMCで資産購入ペース縮小の開始を示唆し、年内か来年初めの縮小開始との見方を示していた。市場でもその可能性で織り込んでいるものの、縮小ペースは極めて緩く、一部の米地区連銀相殺からは、米国債購入を月100億ドル、MBSを50億ドルづつ8カ月間かけて縮小との提案も聞かれる。また、利上げと資産購入ペース縮小は別に考えるべきとの見解も出ていた。


 雇用がまだまだパンデミック前の水準に遠く及ばない状況の中で、感染も再拡大しており、労働市場の回復は想定よりも鈍くなるのではとの不安もある中、FRBも当初よりは慎重になっていることも確かだと思われる。


 米国では少なくとも1回のワクチン接種率は70%に達し、ほぼマイルストーンを達成している。それもあって、デルタ株の感染再拡大に関して人々は以前ほどの恐怖感はないであろう。しかし、消費者のセンチメントが直ぐに以前の状態に戻るかと言われれば、それは時間がかかりそうだ。それは雇用も同様であることを意味し、米国民の労働市場への復帰は想定以上に時間がかかる可能性も留意される。よって、FRBの正常化も時間がかかることが見込まれる。現在のドル円の緩やかな下落トレンドはその見方を表しているのかもしれない。


 さて来週だが、イベントとして7月の米消費者物価指数(CPI)の発表が注目だが、現時点で前年比5.3%、コア指数で4.3%と相変わらず高い数値が予想されている。ただ、市場も既に承知していることもあり、市場にどの程度のインパクトがあるかは未知数。個人的にはむしろ、FOMCメンバーである米地区連銀総裁の講演に注目したい。市場は、今週のクラリダFRB副議長の発言や米雇用統計をきっかけに従来のシナリオを復活させているようだ。そのシナリオとは「9月FOMCで資産購入ペース縮小開始の可能性をアナウンスし、年末か来年初の開始」というものだ。その意味では8月26ー28日にワイオミング州ジャクソンホールで開かれるFRBの年次経済シンポジウムがポイントの1つとなるのかもしれない。パウエルFRB議長がそこでの講演で、上記のシナリオの可能性を示唆するのか注目となろう。その意味でも米地区連銀総裁の発言はチェックして置きたいところではある。


 来週のドル円の想定レンジだが109.00円~111.00円を想定。ただ、スタンスは「やや強気」で変わらず。


()は前週

◆ドル円(USD/JPY) 

中期 下げトレンド継続

短期 ↓↓(↓)


◆ユーロ円(EUR/JPY)

中期 下げトレンド継続

短期 →(↓↓)


◆ポンド円(GBP/JPY)

中期 下げトレンド継続

短期 →(→)


◆豪ドル円(AUD/JPY)

中期 下げトレンド継続

短期 ↓(↓↓↓)


◆ユーロドル(EUR/USD)

中期 下げトレンド継続

短期 ↑(→)


◆ポンドドル(GBP/USD)

中期 下から中立へトレンド変化

短期 ↑↑(↑↑)



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